令和6年度事業計画及び予算
公益財団法人福島県学校給食会は、ウクライナ情勢に加えて、昨年からの中東紛争、為替相場等の影響により物価高騰が続くなどの不安定な社会情勢、更に今年元日に発生した能登半島地震のような自然災害、学校給食を取り巻く様々な環境変化及び学校給食法、食育基本法等の趣旨・目的を踏まえ、福島県の学校給食の普及充実と食育推進を支援するため、引き続き福島県及び市町村教育委員会等関係機関・団体と緊密に連携して、次の項目を重点的に取り組み、円滑な事業運営に努めます。
まず、第一に、食品の提供に関する事業にあっては、精米、米飯、パン及びめん等の基本食品を県内全域に適正価格で安定提供するとともに、一般食品は、仕入価格の高騰が未だ続いていることから提供食品価格調整事業を継続し、価格支援を行ってまいります。更に自然災害等、非常時においては、状況に応じて迅速かつ的確に対応し、学校給食の安定的な実施支援に努めます。
第二に、食品安全衛生管理等に関する事業にあっては、食品衛生法に基づく「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を推進し、食中毒予防対策や委託加工事業者の衛生管理の徹底に万全を期します。また、取扱食品の安全安心を担保するため、細菌検査、ヒスタミン検査等を計画的に実施するとともに、県からの受託事業である放射性物質検査を行います。
第三に、食育推進等に関する事業にあっては、「食育に関する調査研究会」における研究課題や在り方について引き続き検討を進めるとともに、市町村等の食育事業の支援に努めます。また、加工事業者と連携し県産食材を使用した食品開発等に取り組んでまいります。
第四に、学校給食の普及充実等に関する事業にあっては、学校給食関係者の声を「学校給食会だより」等に反映させ広報活動を行います。更に学校給食関係職員への研修機会の提供と研究会活動への実施支援に努めます。
第五に、運営管理に関する業務にあっては、施設整備計画は、将来の運営に大きく影響することから、基本構想の検討を更に深めてまいります。
本会の事業遂行に当たっては、何よりも安全・安心の確保、お客様志向に基づく業務執行の推進に留意し、事業の見直しと合理化を進め経費の節減を徹底して行い、役職員一丸となって、適正な法人管理と安定的な財政運営の下、本会の経営理念としての5つの柱に則り、安全で安心できる学校給食用食品を適正価格で、安定的に県内全域に提供するとともに食育推進に努めます。
経営理念としての5つの柱
- 安全で安心できる食品を、県内全域に、適正な価格で、安定的に提供します。
- 地域の製造・加工事業者と協力・連携し、顔の見える安心給食を提供します。
- 栄養バランスのとれた質の高い食材や献立を研究・開発し、提供します。
- 栄養教諭等の学校給食に関する研究・研修や教育活動等を支援します。
- 学校給食情報の発信や国・県等の事業と連携し学校給食の普及を推進します。
Ⅰ 組織体制
1 評議員会
- 評議員7名
-
事業報告及び決算関係の定時評議員会を6月に、事業計画及び予算関係の臨時評議員会を3月に開催します。
-
その他、必要がある場合に、随時、開催します。
2 理事会
- 理事7名(代表理事1名、業務執行理事1名)
-
事業報告及び決算関係の理事会を6月に、事業計画及び予算関係の理事会を3月に開催します。
- その他、必要がある場合に、随時、開催します。
3 監事
- 監事2名
- 監事は理事会に出席するとともに、必要に応じ評議員会に出席します。
-
監事は、法令等に基づき、理事の職務の執行を監査します。
4 事務局
- 事務局長以下18名
-
事務局に、総務課、業務課及び食品安全衛生管理室を置きます。
Ⅱ 実施事業
1 食品の提供に関する事業
(1)食品提供計画
ア 令和6年度の学校給食実施見込み (別表1-1、1-2)
- 恒常的な少子化による児童生徒数の減少から、教職員を含めた完全給食人員は、145,810人、対前年度比マイナス1.7%を見込んでいます。
イ 令和6年度の食品提供計画 (別表2及び3)
昨今の急激な物価高騰により、令和5年度においても各仕入先等から期中の値上げ要請が相次ぐなど、厳しい状況が続きましたが、令和4年度と同様に新米の米価改定分を除き、取扱食品の提供価格については、年度中途の価格改定は行わないこととして給食実施現場への支援と取扱食品の利用促進に努めてきたところです。
令和6年度については、引き続き一定の物価上昇が見込まれているため、次のように計画しております。
- 基本食品については、児童生徒数の減少から、数量ベースで1,693,187キログラム、対前年度比マイナス1.0%を見込むが、令和5年産米価の大幅な値上がりや、パン・めん原料価格、製造コストの上昇に伴う主食単価の値上げにより金額ベースで1,348,464千円、対前年度比プラス8.2%を見込んでいます。
- 一般食品については、引き続き食品メーカーの製造コスト上昇等に伴う価格の値上げが見込まれるが、学校給食現場のニーズに沿った食品を提案し、利用を促進することにより、数量ベースで1,131,500キログラム、対前年度比プラス8.4%、金額ベースで1,040,000千円、対前年度比プラス17.4%を見込んでいます。
(2)基本食品の提供
ア 精米
- 全農パールライス㈱福島支店の精米工場において、袋詰めした給食用精米の全袋について、引き続き放射性物質検査を行うとともに、本会においても抽出検査を実施し、より安全・安心な高品質の米を提供します。
- 県内外に米の情報・流通網を有する全農パールライス㈱福島支店に学校等で必要とする米の確保を依頼するとともに、市町村から指定された産地の玄米を適正な価格で仕入れ、異物除去などの最新鋭の設備が整った工場において搗(とう)精します。
- 玄米・精米検定要領に基づき、品質、量目、包装荷姿及び数量等について(一財)日本穀物検定協会の検定を受検します。
イ 米飯
- 学校給食の中核となる米飯類については、本会が選定した委託加工工場において、適切な安全衛生管理のもと炊飯加工し、学校等に安定的に提供します。
ウ パン及びめん
- 本会が選定した委託加工工場において、適切な安全衛生管理のもと、本会指定の原料により「パン」及び「めん」に製造加工し、学校等に安定的に提供します。
- 原料である小麦粉については、小麦粉検定要領に基づき、種類、品位、量目等について(一財)日本穀物検定協会の検定を受検します。
- 委託加工工場におけるパン製造技術の向上を図るため、パンの品質調査を行うとともに、専門家等による品質評価を行います。
- パンについては、学校給食実施現場からの要望等を踏まえ、国産小麦を配合し、かつ、減塩化等を図ったパンの開発を進め、提供開始に向け取り組みます。また、県産小麦の配合等について、引き続き県パン協同組合及び県生麺協同組合とともに研究を進めます。
エ 加工事業者の選定
主食の製造加工事業者については、学校給食用食品委託加工事業者選定要領に基づき、施設・設備、安全衛生管理及び製造加工能力等を慎重に審査し選定します。
オ 主食委託加工への理解促進
本会食品提供事業の根幹をなす主食の委託加工について、特に、米飯については、市町村で共同調理場を新設する際等にセンター炊飯方式が導入された場合、本会及び委託加工事業者が経営上、極めて大きな影響を受けることとなり、パンの提供もできなくなる恐れがあることから、市町村を訪問し、主食の委託加工体制の優位性等を説明するなど本事業継続のための理解促進を図ります。
(3)一般食品の提供
ア 取扱食品の利用促進
- 取扱食品に関するチラシ等を作成し、職員が学校等を計画的に訪問して積極的に宣伝することにより、更なる利用促進を図ります。
- 本会を会場とする会議や研修会等を利用した食品展示・試食会を開催するとともに、市町村で行われる献立検討会等に出向くほか、ホームページ、給食会だよりによる取扱食品の紹介等を積極的に行います。
イ 共同購入の実施
- 安全かつ良質な学校給食用食品をより低廉な価格で安定供給するため、(一社)全国学校給食推進連合会や北海道・東北ブロック学校給食会を通じて、広域的な共同購入を推進します。
ウ 食品提供についての普及啓発
- 保護者及び学校給食関係者に本会の食品提供事業を始めとした事業内容について理解を深めていただくため、学校や市町村で行われる学校給食試食会等に対し本会取扱食品を提供するとともに、その安全性、安定的な提供体制、本会事業の公益性等について説明を行い、積極的な普及啓発に努めます。
エ 提供食品価格調整事業
- 食品価格が全般的に上昇する状況の中、学校給食用食品として使用頻度が高く、かつ代替が難しい食材などの価格が高騰し給食への使用に影響があると判断した食品について、令和5年度は対象品目を拡大し、予算を倍増して価格支援を拡充しましたが、令和6年度においても継続して同規模の価格支援を行います。
オ 配送環境等の整備
- 取扱食品の安全性と品質管理を徹底するため、配送事業者との連携を密にし、走行時の交通事故防止及び荷下ろし時のトラブル防止を徹底するとともに、ノロウイルス感染症等の感染防止対策として配送車への消毒液配置や運転手の健康管理、手洗いの励行を推進します。
カ 食品提供事業者との連携等
- 本会取扱食品の品質保持、衛生管理を徹底するため、食品提供事業者との情報交換と情報共有を積極的に行うとともに、価格については、学校給食現場へ適正な価格で提供できるよう、随時、交渉等を行います。
(4)学校給食用牛乳代金の徴収・配分
- 県が定めた学校給食用牛乳供給実施方針に基づき、平成12年度から県より指定を受けている学校給食用牛乳代金配分業務について、引き続き受託し、牛乳代金の請求、受領、事業者への支払い等を適正に執行します。
2 食品安全衛生管理等に関する事業
(1)食品安全衛生管理の徹底
- 本会の食品取扱については、食品衛生法に基づく「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を推進してまいります。
- 食品安全衛生管理室による本会取扱食品の衛生・品質管理のほか、要請に応じ食品衛生管理アドバイザーを市町村等関係機関が主催する衛生講習会等に派遣します。
(2)委託加工工場の衛生管理
- 県パン協同組合及び県生麺協同組合の立会いの下、主食の委託加工工場について、定期的に立入調査を行うとともに、課題があると認められた場合には、重点的に立入調査を実施し、食品衛生管理アドバイザー等による専門的な指導・助言を行います。
- 引き続き「委託加工事業者衛生研修会」等を通じて原材料の保管管理から製造加工に伴う衛生管理等に関する指導を徹底します。
- 全委託加工工場が、食品衛生法に基づく「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に取り組んでいますが、引き続き各工場に対する支援や助言指導を適切に行います。
(3)食品検査
- 放射性物質検査については、県内各種団体等で実施されている検査の動向及び県(健康教育課)との委託契約を踏まえ、県産食材を中心に行います。
なお、その検査結果はホームページで速やかに公表します。 - 細菌検査等については、計画的に本会取扱食品について行うとともに、ヒスタミン検査については、赤身魚のヒスタミン濃度を測定し、本会ホームページ や給食会だよりで公表します。
- 残留農薬及び食品添加物検査(保存料及び発色剤)については、本会取扱食品の中から一部を抽出し、専門機関による委託検査を行い、本会ホームページや給食会だよりで公表します。
(4)検査機器の貸出
- 学校給食の実施現場に対し「簡易細菌検査器」「ATP拭き取り検査器」「手洗いチェッカー」「標準温度計」等の貸出しを行い、細菌性食中毒の防止及び衛生管理等の意識高揚を図ります。
(5)食中毒予防対策
- 主食の委託加工工場に対する研修会等を開催し、衛生管理、二次汚染の防止を徹底します。
- 各食品事業者に対し、食中毒予防の注意喚起を徹底して行います。
- 配送事業者と連携し、配送中の食品の衛生及び温度管理を徹底します。
- 職員全員が自らの健康管理に留意するとともに、家族の健康チェック、職場内外での手洗い及び手指消毒、定期的な保菌検査などを徹底してまいります。
3 食育推進等に関する事業
(1)食育活動等への講師派遣
児童生徒を対象にした食育授業や食生活講話、料理教室等に対し、本会職員等を派遣し、情報提供など食育活動の支援を行います。
(2)調査研究
「食育に関する調査研究会」については、今後の研究課題やその在り方について、学校給食関係者等から意見を伺い検討を進めます。
(3)各種イベント・事業への出展・共催
県や県教育委員会、関係団体などが開催する食育に関するイベントや料理教室等の事業に、出展や共催を行います。
(4)研究団体等への支援
福島県学校給食研究会、栄養教諭食育研究会等の各種団体が行う食育に関する研究活動等を支援するため、事業費の一部を補助します。
(5)地産地消の推進
県や関係団体が進める風評被害対策や地産地消推進の取り組みに対し積極的に協力するとともに、県の関係部局、JA等生産団体、食品加工事業者等と連携し、県内産農畜水産物を活用した食品を開発して、学校給食における地産地消の推進を図ります。
(6)教材・食器具等の貸出事業
フードモデル、食育エプロン、紙芝居、パネル、カミカミセンサー、学校給食管理実践ガイド(DVD)、食器具(和食器、テーブルマナー及びバイキング用食器具類)などを学校等に貸出し、食育の推進を支援します。
4 学校給食の普及充実等に関する事業
(1)広報活動
ア 「学校給食会だより」の発行
学校給食に関する様々な情報や学校給食関係者の声を掲載した給食会だよりを毎月発行し、全ての学校等に配布します。
イ ホームページ等による広報
ホームページやリーフレット等により学校給食や本会の取り組みに関する情報をタイムリーに発信します。
(2)研修等の実施
各種研修会等の実施に当たっては県教育委員会の指導の下、開催してまいります。
ア 栄養教諭等研修
栄養教諭・学校栄養職員及び調理員等を対象として、学校給食の円滑な実施及びその普及充実のため、研修会や講習会等を開催し、学校給食関係者に最新情報や技術習得の機会を提供します。
- 新任所長等研修会 福島市 4月
- 学校給食管理システム操作研修会 福島市 6月
- 学校給食調理員衛生講習会 (e-ラーニング) 各所属先 7月
- 栄養教諭等衛生講習会 (e-ラーニング) 各所属先 9月
- 栄養教諭・学校栄養職員研修会 福島市 11月
- 製造工場、産地等視察研修会 (適時)
イ 中央研修及び全国大会への参加支援
学校給食関係機関・団体等が実施する全国規模の研修や各種大会等に栄養教諭等、学校給食関係者の参加を支援します。
- 学校給食の衛生管理等に関する指導者講習会 東京都 6月
- 第19回食育推進全国大会 大阪府 6月
- 第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会 長野県 8月
(3)貸出事業
ア 冷凍庫等の貸出
食品の適切な保管及び配送の効率化等を目的に貸出している学校給食用冷凍・冷蔵保管庫について、その利用の実態や効果を踏まえ貸出を進めます。
イ 学校給食管理システムの貸出
栄養教諭及び学校栄養職員の事務軽減や食育推進を支援するために貸出している学校給食管理システムについては、引き続き操作研修会等を開催し利便性の向上を図ります。
ウ 会場貸出
学校給食関係機関・団体等に対し、施設見学、研修会場等、様々な要望に応じた本会研修室等の貸出を行います。
(4)学校給食優良団体・功労者の表彰
学校給食の実施内容が優良で他の模範となる学校及び学校給食共同調理場並びに学校給食の推進に功労のあった者、また、県産食材の活用に関し、その取組内容が優良で他の模範となる市町村教育委員会、学校及び学校給食共同調理場等についてその功績を称え、さらなる学校給食の普及・充実を図るため、県教育委員会及び県学校給食研究会共催の下、学校給食優良団体・功労者の表彰を行います。
5 運営管理に関する業務
(1)法人運営管理
- 公益財団法人として法制度の趣旨に則り、適切な運営に努めます。
- 法人運営の基礎となる財務・会計について、定期的に公認会計士の指導や確認を受けるとともに関係機関が行う研修会等を積極的に受講し、適切な執行に努めます。
(2)本会経営ビジョン及び中期経営目標の進行管理
- 本会の将来の役割及び機能の在り方等を踏まえ、平成30年度に機関決定された経営ビジョン及び中期経営目標について適切な進行管理に努めます。
(3)施設整備資産取得・改良資金積立及び施設整備の基本構想の策定
施設整備資産取得・改良資金については、令和5年度の決算状況を考慮し理事会・評議員会の議決に基づいて計画的に積み立てます。また、施設整備計画は、整備完了後の運営に大きく影響することから、昨今の建設費の高騰、将来の給食人員の減少がもたらす運営環境の変化等を踏まえ、引き続き基本構想の策定に向けて検討を深めてまいります。
(4)職員の資格取得等研修及び厚生の充実
- (一社)全国学校給食推進連合会、北海道・東北ブロック学校給食会、ふくしま自治研修センターなどが行う各種研修会等に職員を参加させスキルアップを図るとともに、業務処理上役立つ資格取得を奨励します。
- 職員の定期健康診断等の受診及び予防接種を促し、職員の健康維持に努めます。
(5)危機管理対応
- 福島県と締結した災害時応援協定に基づき、災害時に速やかに対応できるよう訓練や体制の維持に努めます。
- 災害や機器故障等により給食実施に支障が生じた場合の緊急代替用食品を非常用食品として常時確保し、学校給食の安定的な実施支援を行います。
- 食品事故、自然災害、感染症対策等の対応については、事案毎に危機管理マニュアルに従い、迅速かつ的確に対応します。
(6)学校給食に係る全国組織等への参加
- (一社)全国学校給食推進連合会を通じて、学校給食会が直面する課題等の検討や情報の収集を行うとともに、安全で安価な輸入牛肉等の食品を共同購入します。
- 北海道・東北ブロック学校給食会における常勤役員会や担当者研修会をとおし共通課題の情報交換や対応策の検討を行います。
- (公財)学校給食研究改善協会及び(一社)全国学校給食推進連合会と協力、連携し、学校給食用脱脂粉乳の適正な利用とその普及促進に努めます。
(7)事務の効率化と経費の節減
- 健全で安定的な財政運営を維持・確保していくため、引き続き事業や固定費等の見直しを進め、経費の節減を徹底してまいります。
- 業務改善を行うため、引き続きICTを活用するなどして事務の効率化を図ります。