身近に潜む「食中毒菌」
2016年12月15日更新
調理従事者、食品取扱者のもっとも身近に潜む食中毒菌、それは「黄色ブドウ球菌」です。学校給食における「黄色ブドウ球菌食中毒」の発生件数は決して多くはありませんが、平成8年に「マカロニサンド」、平成13年(原因食品不明)にそれぞれ1件ずつ起きています。
黄色ブドウ球菌は、ヒトの皮膚や鼻腔、口腔内、頭髪の中などに生息しています。特に、化膿した傷口には大量増殖した菌が存在します。従って、手指に傷や手荒れのある場合には調理等に従事しないこと、また食品取り扱いの前には十分な手洗いが必要です。
調理師養成施設や衛生講習会受講者の協力を得て、手洗いによる黄色ブドウ球菌の除菌効果を調べてみました。手洗い実施後に細菌検査をしてみたところ、意外なことに、手洗い後の手のひら表面から黄色ブドウ球菌(を含めたブドウ球菌)が検出され、人によっては手洗い実施前よりも実施後の方が、検出菌数が多い、という結果さえ出ました。
つまり、手のシワや表皮の奥深くにも潜んでいる菌が石けん洗いによって表面に浮き上がってきたものの、十分に洗い流されずに残ってしまったものと考えられます。手洗い後の消毒用アルコール等を用いた手指消毒の重要性を再認識する結果でした。
これからの季節、ノロウィルス対策としても手洗いは非常に大切な衛生管理対策です。
ノロウィルスには今のところ有効な手指用消毒剤がありませんが、ノロウィルスは皮膚の表面にだけ付着することから、十分な手洗いによって除去することが可能です。
(食品衛生管理アドバイザー)