平成27年度事業計画及び予算
基本方針
公益財団法人福島県学校給食会は、学校教育活動の一環として実施される学校給食の円滑な実施及びその充実発展に努めるとともに、学校給食における食育の推進を支援することにより、ふくしまの未来を担う子どもたちの健全な心身の発達と県民の豊かな食生活の向上に寄与することを目的に活動します。
平成27年度は、東日本大震災と東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故から5年目となり、交通インフラや新産業などの分野での復興は確実に進む一方で、長引く避難生活、除染の遅れ、県産食材に対する風評被害など課題もなお大きなものがあります。
こうした情勢を踏まえ、平成27年度は、次の点に重点的に取組みながら、安全で安心できる学校給食用食品の適正な価格での安定的な提供と食育推進に努めてまいります。
まず、第一に、食品の安全衛生管理をさらに一層推進するため、事務局に、新たに「食品安全衛生管理室」を設置し、食品衛生の専門家を常勤で配置するなど安全衛生管理体制を強化します。
第二に、「お客様志向」に立った業務執行を推進するとともに、職員総出で市町村等訪問を展開し本会事業の公益性や取扱食品の理解と普及に努めます。また、ホームページや「給食会だより」などの広報媒体のレベルアップを図り学校給食に役立つ情報をタイムリーに提供します。
第三に、県産食材の風評被害払拭と食育推進の観点から、生産者や加工事業者と連携し、県産食材を利用した加工食品の開発、普及に努めてまいります。
以上の三点を中心に、徹底した経費の節減、事務事業の改廃、合理化を進めながら、役職員一丸となって、適正な法人管理と安定的な財政運営の下、次の5つの柱に則り、お客様に喜ばれる質の高いサービスの提供に努めてまいります。
5つの柱
- 安全で安心できる食品を、県内全域に、適正な価格で、安定的に提供します。
- 地域の製造・加工事業者が協力・連携し、顔の見える安心給食を提供します。
- 栄養バランスのとれた質の高い食材や献立を研究・開発し、提供します。
- 学校栄養教諭等の学校給食に関する研究・研修や教育活動等を支援します。
- 学校給食情報の発信や国・県等の事業を受託し学校給食の普及を推進します。
Ⅰ組織体制
1 評議員会
- 評議員 5名
- 事業報告及び決算関係の評議員会を6月に、事業計画及び決算の評議員会を3月に開催します。
- その他、必要がある場合に、随時、開催します。
2 理事会
- 理事 7名(代表理事1名、業務執行理事1名)
- 事業報告及び決算関係の理事会を6月に、事業計画及び決算の理事会を3月に開催します。
- その他、必要がある場合に、随時、開催します。
3 監事
- 監事 2名
- 監事は理事会に出席するとともに、必要に応じ評議員会に出席します。
- 監事は、法令等に基づき、理事の職務の執行を監査します。
4 事務局
- 事務局長以下19名
- 事務局に、総務課、業務課、食品安全衛生管理室を置きます。
Ⅱ実施事業
1 食品の提供に関する事業
(1) 食品提供計画
ア 平成27年度の学校給食実施見込み(別表1)
東日本大震災及び原発事故による児童生徒の県外避難や少子化による児童生徒数の減少から、教職員を含めた完全給食人員は、169,400人、対前年度比マイナス1.7%と見込んでいます。
イ 平成27年度の食品提供計画(別表2、3)
- 基本食品については、児童生徒数の減少及び26年産米価格の値下がりなどにより、数量ベースで2,197,816kg、対前年比マイナス0.2%、金額ベースで1,331,139千円、対前年度比マイナス0.5%と見込んでいます。
- 一般食品については、「お客様志向」に立った業務執行を推進することにより、加工食品等の提供量の増加を図り、数量ベースで1,055,900kg、対前年度プラス0.4%、金額ベースで825,000千円、対前年度比プラス0.6%と見込んでいます。
(2) 基本食品の提供
ア 精米
- 県内外に米の情報・流通網を有するJAパールライン福島(株)から、市町村の希望する産地の玄米を少しでも安く、確実に仕入れ、異物除去などの最新鋭の設備が整った同社工場においてとう精します。
- 品質、量目、包装荷姿及び数量等について一般財団法人日本穀物検定協会の検定を受け、合格した米のみを提供します。
- 県の放射性物質全袋検査で一定基準以上の米のみを購入し、JAパールライン福島㈱及び本会において玄米、精米の放射性物質検査を実施します。
イ 米飯
市町村から指定された産地の米を、本会が指定した委託加工工場において、厳しい安全衛生管理のもと「米飯」に製造加工し、給食センターや学校に確実に配送します。
ウ パン
- 小麦粉原料の安定確保、品質、価格等の観点から輸入小麦粉を使用し、本会が指定した委託加工工場において、厳しい安全衛生管理のもと「パン」に製造加工し、給食センターや学校に確実に配送します。
- 給食用のパンを抜き取り、専門家を交えた関係者による品質調査を行い、パンの品質、製造技術等に関する情報交換により加工事業者の技術力向上を図ります。
- 県産・地元市町村産米を使用した「米粉パン」を提供します。
エ めん
- 小麦粉原料の安定確保、品質、価格等の観点から輸入小麦粉を使用し、本会が指定した委託加工工場において、厳しい安全衛生管理のもと「めん」に製造加工し、給食センターや学校に確実に配送します。
オ 加工事業者の選定
- 米飯、パン及びめんの製造加工事業者については、県及び市町村教育委会、栄養教諭等学校給食関係者、PTA、食品衛生専門家による選定委員会において、安全衛生管理、製造能力、安定性、補完体制、経営基盤等を審査の上、選定します。
- 平成27年度の委託加工事業者は、米飯及びパンが福島県パン協同組合(48事業所)、めんが福島県生麺協同組合(18事業者)が選定されました。
選定された事業者については、本会の食品衛生管理アドバイザーによる工場実地調査を定期的に行うほか、講習会や研修会を通じて衛生管理や技術力の向上を図ります。
(3)一般食品の提供
ア 学校給食用食品委員会の開催
福島県教育委員会や学校給食共同調理場、栄養教諭等を構成員とする「学校給食用食品委員会」を開催し、栄養、味覚、表示、郷土性、教育性等の観点から学校給食推奨食品を選定するとともに、学校給食に関する情報や意見交換を行います。
イ 取扱食品の利用促進
- 「職員全員営業マン」をスローガンに、職員全員が学校等を計画的に訪問し、取扱食品を積極的に広報、宣伝するとともに、学校給食関係情報などを幅広く収集、提供して、取扱食品の利用促進や開発導入を図ります。
- 会議開催時などを利用した食品展示・試食会を開催するとともに、献立検討会等に積極的に出向くほか、ホームページ、給食会だよりなどによる取扱食品の紹介や学校給食に関する情報提供を積極的に行います。
エ 共同購入の実施
安全かつ良質な学校給食用食品をより低廉な価格で安定供給するため、全国学校給食会や北海道・東北ブロック学校給会を通じて、広域的な共同購入を推進します。
オ 食品提供についての普及啓発
学校等で行われている給食試食会、親子料理教室などにおいて、本会事業の公益性とともに取扱食品の安全性や優位性について、学校給食関係者や保護者などに正しく理解されるよう、積極的な普及啓発を図ります。
カ 配送環境等の整備
- 取扱食品の配送効率の向上及び安全性と品質管理の徹底を図るため、適宜、配送ルート等の見直しを行うとともに、交通事故や配送先でのトラブルが生じないよう、運送業務の管理を徹底します。
- ノロウィルス等の感染症予防対策として、毎日、乗務員の健康確認を行うほか、配送車内に消毒液を常備するなど、衛生管理を徹底します。
(4) 地産地消
- 県の関係部局、JA等生産団体、食品製造加工事業者等と連携し、県内産小麦を使用したパン、県内産食肉等を活用した食品開発、県内産冷凍野菜の加工など、学校給食における地産地消の推進を図ります。
- 県や関係団体が進める風評被害や地産地消推進の取組みに積極的に協力します。
- 北海道・東北ブロック学校給食会を通じ、他道県の地場産品を紹介・提供する取組みも推進します。
2 衛生管理等に関する業務
(1) 食品安全衛生管理室の設置
食品の安全衛生管理の統括機能を強化するため、事務局に「食品安全衛生管理室」を設置し、専門的知識と経験を有する職員を配置します。
(2) 食品衛生管理アドバイザーの委嘱
食品衛生に関する専門的知識と経験を有する専門家を「食品衛生管理アドバイザー」として委嘱し、本会取扱食品の衛生管理及び市町村等に派遣し学校給食の衛生管理の推進を図ります。
(3) 食品安全衛生推進会議の開催
学校給食の安全衛生の推進を図るため、関係機関団体の職員等による「食品安全衛生推進会議」を開催し、学校給食の安全衛生に関する情報や意見の交換等を行います。
(4) 食品検査
- 本会取扱食品について、提供前に放射性物質検査を確実に実施するとともに、市町村等からの依頼に基づく検査も行い、食品の安全・安心を確保します。
- 一般生菌数・大腸菌群・大腸菌・病原性大腸菌O157・黄色ブドウ球菌・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ菌について、本会において計画的な検査を行い公表します。
- 残留農薬検出検査やソルビン酸などの保存料と硝酸塩、亜硝酸塩などの発色剤について、専門機関による検査を行います。
- 学校等からの検査依頼に対応し、無償で食品検査を実施して、安全・安心な学校給食の実施の支援に努めます。
(5) 検査機器の貸出
学校給食実施現場に対し「簡易細菌検査器」「紫外線ランプ」「自記温湿度計」「ATP拭き取り検査器」「標準温度計」「糖度計」「塩分計」の貸出しを行い、細菌性食中毒の防止及び衛生管理等の意識高揚を図ります。
(6) 委託加工工場の衛生管理
- 食中毒、アレルギー事故及び異物混入の発生を予防・防止するため、福島県パン協同組合及び福島県生麺協同組合と連携し、米飯、パン及びめんの製造加工を委託している工場の実地調査を行います。
- 調査時には、食中毒を防止する観点から、「ATP拭き取り検査器」等を使用した衛生検査を実施し衛生管理の強化を図るとともに、本会が委嘱する食品衛生管理アドバイザーを活用するなどして的確な指導・助言を行います。
- 委託加工工場を対象とした衛生強化対策会議を開催し、衛生管理体制の充実・強化に努めます。
(7) 感染症予防対策
- 「食中毒は絶対に起こさない」を合言葉に、職員全員が自らの健康管理に注意するとともに、家族の健康チェック、職場内手洗いの遵守、定期的な検便など細心の注意を払います。
- 主食の委託加工工場に対する研修会等を定期的に開催し、衛生管理、二次汚染の防止を徹底します。
- 一般食品事業者に対し、食品の感染症予防の注意喚起を適宜行います。
- 配送事業者と連携をとり、配送中の食品の温度管理を徹底します。
(8) 栄養教諭等研修
ア 栄養教諭・学校栄養職員及び調理員を対象として、衛生管理に対する知識の習得等研鑽を積んでいただくため次の講習会を開催し、学校給食の充実発展を支援します。
- 学校給食衛生講習会 福島市 7月 100人
- 学校給食衛生検査技術講習会 福島市 9月 30人
イ 学校給食関係機関・団体等が実施する全国規模の研修に、栄養教諭等の学校給食関係者を派遣します。
- 食の安全に関する調理員講習会 東京都8月5人
- 食の安全に関する実技講習会 東京都10月2人
- 学校給食の衛生管理に関する指導者講習会 東京都 7月2人
3 学校給食の普及充実に関する業務
(1) 広報活動
ア 「給食会だより」の発行
学校給食に関する県内唯一の月刊情報誌である「給食会だより」について、栄養教諭等学校給食関係者による「給食会だより編集会議」を開催し内容の充実を図るとともに、印刷等を専門事業者に委託することにより事務の合理化を図ります。
イ ホームページ等による広報
ホームページや給食会だよりによる効果的な情報発信のため、その管理運営を適切に行い、本会事業及び運営状況の広報をはじめ、学校給食の実施及び食育の指導支援に関する各種情報の収集、提供に努めます。
また、職員をホームページ作成、管理、広報等についての研修に参加させ、公益法人としての立場や本会事業の意義等が、県民や一般の方々に広く理解され、かつタイムリーな情報発信ができる体制作りに努めます。
ウ 食育活動等への講師派遣
児童生徒を対象にした食育授業や関係機関からの要請による食生活講話、料理教室等に対し、本会職員による講師の派遣を行い、適切な食生活に関する知識の普及や食品の安全性に関する情報の提供等を行うとともに、食育推進支援活動に努めます。
エ 各種イベント・事業への出展・共催
本会の事業活動について周知を図るため、福島県や福島県教育委員会、関係団体などが実施する食に関するイベントや料理教室等の事業への出展あるいは共催を行います。
(2) 調査研究活動等
ア 調査研究
本会が設置している「食育に関する調査研究会」において、学校給食の運営上の課題や普及推進に役立つテーマを選定し調査研究を行います。
イ 研究団体等への支援
福島県学校給食研究会等の団体が行う学校給食の普及・充実に関する研究事業等を支援するため、事業費の一部を補助します。
(3) 研修会の開催
学校給食の円滑な実施とその普及充実に資するため、次のとおり研修会を開催し、学校給食関係者の情報収集や研修の機会を提供します。
- 新任所長等研修会 福島市 4月 30人
- 学校給食管理システム操作研修会 福島市 6月 30人
- 学校給食用パン講習会 県中・県南方部 7月 30人
- 栄養教諭・学校栄養職員研修会 福島市 10月 120人
(4) 中央研修派遣支援
学校給食関係機関・団体等が実施する全国の各種大会等に栄養教諭等の学校給食関係者を派遣します。
- 第10回食育推進全国大会 東京都 6月 20人
- 第56回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会 徳島県 7月5人
- 第66回全国学校給食研究協議大会 高知県 11月5人
(5) 受託事業
ア 学校給食用牛乳代金配分事業
学校給食用牛乳については、福島県学校給食用牛乳供給実施方針に基づき、適正かつ効率的な事務の執行を図るため、引き続き代金の徴収、配分事務を牛乳供給事業者から本会が受託し実施します。
イ 放射性物質検査の受託
本会取扱食品及び市町村等からの依頼による学校給食用食品の放射性物質検査について、引き続き福島県教育委員会より受託し実施します。
(6) 貸出事業
ア 教材・食器具の貸出
食育指導用教材については、これまでのフードモデル、ビデオテープ、紙芝居、パネル等のほか、新たに水産庁の「国産水産物流通促進事業」により貸与される魚(サケ、マサバ)のレプリカ及び多様化する学校給食に対応するための食器具(テーブルマナー及びバイキング用食器具類)について学校等に貸出し、食育の推進を支援します。
イ 冷凍庫等の貸出
本会提供食品の保管及び配送の効率化を目的として貸出している学校給食用冷凍、冷蔵保管庫については、その利用の実態や効果等を踏まえ貸出を進めます。
ウ 学校給食管理システムの貸出
栄養教諭及び学校栄養職員の事務軽減や食育推進を図るために導入している学校給食管理システムについて、献立ソフト以外のアプリケーションの開発・導入を進め、利便性の向上を図ります。
(7) 学校給食優良団体・功労者の表彰
学校給食の実施内容が優良で他の模範となる学校及び学校給食共同調理場等については学校給食優良団体として、学校給食の普及・改善に貢献された方については学校給食功労者として、その功績を称え、さらなる学校給食の普及・充実を図るために表彰します。
(8) 会場貸出
学校給食の円滑な実施、その充実発展及び食育の推進を支援するため、食育推進活動などを実施する関係機関・団体等などに対し、本会研修室等の貸出を行います。
4 運営管理に関する業務
(1) 法人運営管理
- 公益財団法人として、法制度の趣旨に則り、引き続き適切な運営に努め、安全・安心な学校給食用食品の安定的な提供と食育の推進を支援します。
- 法人運営の基礎となる財務・会計については、公認会計士の指導及び全国学校給食会連合会主催の研修会等を受講し、適切な処理に努めます。
(2) 勤務時間及び始業・終業時刻の変更
職員の労働条件の改善及びお客様志向に立った業務の効率化を図るため、勤務時間を15分短縮するとともに、始業時刻を15分間早め8時15分とし、終業時刻を30分繰り上げ17時とします。
(3) 臨時職員の雇用改善
非正規職員の雇用改善を図る労働契約法の趣旨等に沿った臨時職員の雇用条件等の改善を検討します。
(4) 危機管理対応
- 災害発生時には、平成26年9月に、原材料調達、製造加工、配送の5事業者及び福島県と締結した災害時応援協定に基づき、速やかに対応できるよう確認や準備を進めます。
- 本会において、災害や機器故障等により予定した給食実施に支障が生じた場合の緊急代替用食品を非常用食品として常時確保し、学校給食の安定性を確保します。
- 食品事故や災害発生時に迅速かつ的確に対応するため、事案毎に危機管理対応マニュアルを整備します。
(5) 職員研修・厚生の充実
- 職員一人ひとりの職務遂行能力を高め、効率的で創造的な業務運営を行うため、全国学校給食会連合会、北海道・東北ブロック学校給食会、公益財団法人ふくしま自治研修センターなどが行う各種研修会に職員を積極的に参加させます。
- 職員の定期健康診断や人間ドックを実施し、職員の健康増進に努めます。
(6) 学校給食関係機関懇談会の開催
学校給食を実施している市町村等関係機関と、学校給食や本会事業運営などに関する様々な情報や意見の交換等を行う学校給食関係機関懇談会を開催します。
(7) 学校給食に係る全国組織等参加
- 全国学校給食会連合会を通じて、学校給食会が直面する課題等の検討や情報の収集を行うともに、安全で格安な牛肉等の物資を共同購入します。
- 北海道・東北ブロック学校給食会を通じて、情報交換を行うとともに、職員研修への参加、共同購入などを実施します。
- 全国学校給食振興期成会を通じて、学校給食に関する施策の拡充などを図ります。
- 公益財団法人学校給食研究改善協会と協力、連携し、学校給食用脱脂粉乳の適正な利用とその普及促進に努めます。
(8) 事務の効率化と経費の節減
- 健全で安定的な財政運営を維持・確保していくため、徹底的な経費節減と事業の見直し、事務執行の効率化を図ります。
- 基幹システムの更新と業務改善を的確に推進するとともに、ITを使った業務改善を研究します。