学校給食におけるノロウイルス食中毒発生状況と予防対策
2017年6月16日更新
1.発生状況
今年になり、ノロウイルスに汚染された「きざみのり」が原因となった大規模な集団食中毒が東京都立川市内と和歌山県御坊市内の小学校などで相次いで発生しました。所管の大阪市生活衛生課の調査によると、原因となったきざみのりの加工所にある、のりの裁断機やトイレなど8カ所からノロウイルスが検出され、事業主は「昨年12月下旬にトイレで嘔吐した」と説明しています。さらに、この事業主はのりを細断する際に、手袋を着用せず素手で作業していました。一人の手に付着したノロウイルスが、きざみのりを介して約2,000人の児童及び教職員に感染したのです。
「学校給食における原因菌等別食中毒発生状況」は表1に示すとおりであり、ノロウイルスによる食中毒事故は最も発生件数が多く、平成16年度から26年度までに28件の報告があります。また、「学校給食におけるノロウイルスの発生状況」は表2に示すとおりです。発生原因が不明の事例が多いのですが、学校給食の調理場以外で製造された食品が原因になっている事例も報告されています。
2.予防対策
上記の発生状況から、給食センターや単独校の調理作業従事者の衛生管理を徹底するだけでは、ノロウイルスによる食中毒を防ぐことは不可能です。学校に食品を提供する作業に従事する者全員が、ノロウイルス対策の基本を遵守する必要があります。既に皆様方は御存知かと思いますが、以下に予防対策の基本を整理したので参考にしてください。
(1)食品の製造、調理に係る人の健康管理
ア 普段から感染しないように食べ物や家族の健康状態に注意する
イ 嘔吐や下痢の症状があるときは、食品を直接取り扱う作業をしない
ウ 症状がある時に、すぐに責任者に報告する仕組みをつくる
(2)手洗いの徹底
ア 洗うタイミングは
- トイレに行ったあと
- 調理施設に入る前
- 料理盛り付けの前
- 次の調理作業に入る前
イ 汚れの残りやすいところをていねいに
- 指先、指の間、爪の間
- 親指の周り
- 手首、手の甲
なお、厚生労働省は「ノロウイルス等の食中毒防止のための適切な手洗い」というタイトルで動画を配信していますので、参考にしてください。
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3.まとめ
学校給食におけるノロウイルス食中毒の原因を探っていくと、ノロウイルスで汚染された「手」にたどり着きます。食事を作る人・運ぶ人・食べる人それぞれが、予防対策の基本を遵守し、その上で非加熱食品にも加熱後の食品にも素手で触らない、つまり食品には素手で触らないことを心掛ければ、ノロウイルスによる食中毒事故件数を減らせると思います。
(食品安全衛生管理室)